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僕が書きたいことをひたすらに書き綴る、自己満足のブログです。

アドベントカレンダー!〜クオリアちゃんと読む日本的品質管理〜

クオリアちゃん番外編

クオリアちゃん番外編です。

なお、この記事は SQuBOK V2読破会アドベントカレンダーの9日目の記事です。

www.adventar.org

 

前回のanahiappiさんの記事はこちら。

www8.atwiki.jp

登場人物紹介

※絵は書けないので、キャラの姿は想像で補ってください。

伊敷 孝男(いしき たかお)

意識高い系。口癖は「まあ、俺のモットーは"高品質"だから」。人の話は一応聞く。

  

クオリアちゃん

突如、伊敷の部署に配属された中途採用の女性。本名は不明だが「クオリア」と名乗っている。見た目は女子大学生。品質の話になると語りだす。ツンデレ

 

大代 適斗(だいだい てきと)

すべてにおいてテキトーな人間。人事部の手違いによりQA(品質保証部)に配属された。無駄にイケメン。

 

クオリアちゃん番外編 「日本的品質管理を知らない?あんたほんとにQAなの?」

常識を覆す男、大代 適斗 

 「今日の午後はQAレビューね」

 クオリアちゃんが伊敷の席に来て言った。

「あ、そうだった!準備しないと!」

伊敷は慌てて書類をまとめ、クオリアちゃんとともにレビューが行われる会議室へ向かった。

 

「…」

「…遅い」

伊敷とクオリアちゃんは、かれこれ5分会議室で待っていたが、一向にQAの「大代さん」という人は現れない。電話もしてみたが、留守とのことだった。

 

「ウィーッス」

「!!?」

伊敷は驚愕した。

そこに現れたのは超長髪&金髪&シルバーアクセじゃらじゃらの謎の男だった。本当に会社員なのか疑わしいレベルだ。

「ぁ、打合せ14時からでしたっけ?ワリィ〜ス遅れちゃって。QAの大代です〜よろしく」

「は、はあ…よろしくお願いします…」

伊敷とクオリアちゃんは顔を見合わせた。

「(こいつはヤバい)」

二人の共通認識だった。こいつはヤバい。

「と、とにかく、レビュー始めましょうか。よろしくお願いします」

そう言うと伊敷はスクリーンに書類を投影しつつ、資料を配布した。

「一応、前もって資料メールしましたけど、確認ってされましたか…?」

伊敷は大代に尋ねた。

「ぁ、ワリィ〜ッス。忘れてましたわ!」

大代は相変わらず芸人のようなリアクションだ。

「そうですか…じゃあ概要から説明するので、聞いてもらえますか」

伊敷は一通り、今回のレビューの対象ドキュメントの内容について説明をした。

 

「どうですかね…?」

「ぁ、いんじゃないすか?」

大代は髪をしきりに触りながら答えた。

「えっ。何か指摘とか、ないんですか?」

「はい、ねっすよ」

伊敷とクオリアちゃんは再び驚愕した。QAがレビューで一つも指摘を出さないなんて、ほとんどありえないことだった。こいつ本当に仕事する気があるのかと伊敷は疑問に思った。

「あの…えっ」

隣のクオリアちゃんがいつの間にか起立していた。おぞましいオーラをまとっている。必殺技か何かを出してきそうな雰囲気だ。

「貴様、大代と言ったな」

「ぁ、そっすよ…ぇっ」

大代はクオリアちゃんの発するオーラに気づき、凍りついた。

「(クオリアちゃん…!いつもとキャラ違うよ…!)」

伊敷はもはや口を挟める空気ではないと感じた。

「そこになおれェ!」

「はい!」

大代はクオリアちゃんに正座させられた。

 クオリアちゃんのありがたいお話

「貴様、QAとはどんなものか、わかっていないな」

「どんなものか?知ってますよ。テストとかレビューとかすりゃいんでsy」

「何を言っているんだ貴様!そんなものは、QAの本質ではないッ!」

「は、はい!」

「(言い方が某ジャンプ漫画っぽくなってるよ!クオリアちゃん!)」

「貴様、『日本的品質管理』を知っているか?」

「何それ?」

「(あっ…あかんやつや、これ)」

伊敷は察してしまった。大代はクオリアちゃんの逆鱗に触れてしまったのだ。

「あああああああああアアアアアア」

「ひ、ひいッ」

大代はクオリアちゃんの変貌に完全に恐怖心を抱いている。

「お前にッ!QAとは何たるかッ!叩き込んでやるッ!覚悟して聞けッ!!!」

「はいぃ!」

クオリアちゃんは完全に違うスイッチが入ってしまったようだ。

「貴様はッ!品質管理とは何だと思うかッ!」

「品質管理って…製品の品質を管理するんじゃ」

「それだけではないッ!!!!」

クオリアちゃんは大きく机を叩いた。

「いいか!品質管理とは、経済的であり、かつ役に立つ、しかも、買い手が満足して買ってくれるような品質の製品を作ることだ」

「これはすなわち、製品の品質を管理するだけではなく、仕事の質、サービスの質、情報の質、工程の質、部門の質、人の質、システムの質、会社の質などこれら全ての「広義の質」について管理をすることを示している」

「この目的を達成するためには、社内全部門、全従業員が品質管理を推進していかなければならない」

「ビジネスをしていれば短期的な利益に目が行きがちだが、そうではなく品質第一でなければならない!生産者指向ではなく、徹底して消費者指向をめざさなくてはならないのだ!」

「欧米の品質管理は、一部のエリート技術者だけのためのものとされた。これと対照的に、日本的品質管理は組織内の全員参加が原則だ。当然、そのための教育や訓練も全員に対して行われる」

「それだけではない。QC診断と称して経営者が自ら現場部署を視察し、生産性や品質の阻害要因があれば積極的に除去していく活動も行われていた。まさに、全階層において品質管理活動に取り組むようになったのだ」

「何かが乗り移ったようだ…」

さすがに伊敷もクオリアちゃんの変貌にドン引き驚愕していた。

「QAは日本語でなんというかッ!伊敷!」

「は、はい!品質保証です!」

急に指された伊敷は慌てて回答した。

「そうだッ!では品質管理とは何が違うか、明確に述べることはできるかッ!」

伊敷は答えに窮した。似たようなものだろう、という理解しかなかったからだ。

「いいか。石川馨氏はこう述べている」

「品質保証は、品質管理の真髄である。」*1 

「品質保証においては、消費者の要求に合った品質を保証しなければならない。それは、規格に合っているかどうかではない。そもそも規格を満たさないようでは話にならない。規格を満たして初めて、問題を議論できるようになるのだ」

「消費者の要求をとらえるためには、それを測るための真の品質特性をつかまなければならない。まず品質をどう表現するのかを明確にし、その上でその測定方法、テスト方法を決めていく。もちろんここで人間の感覚に頼らなければならない場面も当然出てくるが、測定しづらい場合はその代用特性を探し、真の品質特性と代用特性の関係を正しく理解することが重要だ」

「このことは何も製造工程だけにいえることではない。設計、購買、販売、人事、経理など、それぞれの仕事においても同様に当てはまる。我々は工程を管理して良い製品、良い結果を得るべきなのだ。この品質管理の考え方を、社長以下全従業員が理解すべきだし、そして実践できるよう教育すべきなのだ」

「このような全員参加の品質管理活動を支えるために、QCサークルが全国的に組織化されたのだ。よく知られているQC七つ道具といった統計的手法は、QCサークルを通して普及したものだ」 

話し終えると、クオリアちゃんはその場に座り込んだ。 

「クオリアちゃん!大丈夫?」

「うう…私は何を…」

「えっ、記憶ないの…?」

伊敷はまたもやドン引き驚愕した。

「すんませんした」

クオリアちゃんに向かって大代が頭を下げた。

「俺…調子に乗ってたッス。もっとちゃんと勉強します」

「私…なんか色々しゃべったみたいね」

クオリアちゃんはなんとなく記憶を取り戻したらしい。

「俺なんかに色々教えてくれて、マジ嬉しかったッス。あざっす」

再び大代は頭を下げた。

「…わ、わかればいいのよ! 言っとくけどね、べつにあんたのために言ったわけじゃないんだからね! あんたがあまりにも物を知らないから、仕方なく言ったのよ。勘違いしないでよね」

「ツンデレ…」

「うるさい!」

「CV.釘宮r」

「はいはい!それ以上言うとこの記事権利者に削除されるからやめましょ!」 

参考文献

日本的品質管理ーTQCとは何か, 1984

ソフトウェア品質知識体系ガイド(第2版) SQuBOK Guide V2, 2014

あとがき

今回はSQuBOKの中から、石川馨氏の日本的品質管理を掘り下げました。SQuBOKでは「第1章 ソフトウェア品質の基本概念」の中で、一つの品質の定義として述べられています。

SQuBOKでは日本的品質管理の他にも様々な識者による品質の定義が紹介されています。一度目を通してみて、自分は品質をどう捉えるだろうか、と思いを馳せてみてもよいのではと思います。

*1:日本的品質管理ーTQCとは何か p.103より引用